始まりの

〜BLなお話です〜

翔はあれから散

栞に連れ回された。

家に帰る頃には心身ともに

疲れ切っていた。

胸が重苦しい。

玄関の扉がやけに重い気がする。

翔ちゃん、お帰り!遅かったね。

目の前に雅紀がいた。

玄関まで迎えに出てくれた。

雅紀の笑顔を見ると

途端に周りの空気が軽くなった感じがして

息が楽になった。

雅紀、お前何で。

翔〜〜!まーくんがハンバーグ作ってくれているぞ!

超上手い!

良介が居間のテーブルの上で

ものすごい勢いでハンバーグを口に

運んでいた。

食卓にはハンバーグ以外にも

たくさんのおかずが並んでいた。

母さんが今日も遅くなるって言うんで

まーくんに応援頼んだんだ。

翔ちゃんも食べるでしょ?たくさん作ったから

いっぱい食べてね。

雅紀の笑顔に癒された。

雅紀の存在で心が穏やかになっていく。

雅紀の為だったら頑張れるそう心の底から

思えた。

けど

俺はいつまであの女と付き合えばいいんだろう。

翔は泥沼に足を取られて身動き出来ない

感覚に陥った。

翔ちゃん。

何だ?

小林さん、最近朝もいないでしょ?

どうしたのかな。体の具合でも悪いのかな。

登校中、栞との合流地点である

コンビニ前の交差点を

通り過ぎる時に雅紀がぽつりと言った。

そこに栞の姿はなかった。

雅紀はそれを心配していたのだ。

栞は雅紀とは携帯番号などの

やり取りはしていなかった。

なので雅紀には栞との連絡手段はない。

それが栞の狡猾さが伺えて

腹が立つような

でもホッとするような

翔は複雑な思いだった。

突然に翔の携帯が鳴った。

差出人の名前にゾッとする。

雅紀にわからないようにそっと

メールの内容を確認した。

うんざりする。

日曜日にデートの誘い。

いや、違う。

誘いではなく確定。

拒否は出来ない。

必ず行かなければならない。

終わりの見えない泥沼に

目の前が真っ暗になる。

でもまだダメだ。

まだ雅紀はあの女の事を気に掛けている。

自然消滅に持って行くには

まだ時間が掛かりそうだ。

雅紀の為だと思えば

何とか踏ん張れる気がした。

続く