『美しい星』@TOHOシネマズ新宿

ある家族が宇宙人として覚醒し地球を救おうとする話。なんともシュールな世界観に映画終了後なんともいえない余韻が残るSFでした。好きか嫌いかでいくと大いに好き。けむにまくシュールではなくハッピーエンドにもその逆にもとれる考えさせれるそれなので。

映画は終始コミカル。ポスターのリリーさんそのものの覚醒宇宙人の不思議な儀式がじわじわと笑いのツボに染み渡ります。リリーさん以外にも家族である橋本愛さんや亀梨くんもそれぞれの形で宇宙人に覚醒していてそれぞれの不思議さんを楽しめます。橋本さんは今回100%美少女、不思議美少女の様相でごちそうさまでした。あのポーズ、やってみたい。中嶋朋子さん演じるお母さんだけが宇宙人には覚醒しないんだけど彼女は彼女なりの苦労が。数日後に観るであろう「家族はつらいよ」にも出てますがこっちの家族の方がもっとつらいよだと思います。不思議な敵(?)役の佐々木内蔵助も意味分かんなかったけどあのまばたきしない不気味キャラははまり役でした。

コミカルなんだけどときどきふっと恐ろしくなるようなことも描かれていて、僕らが普通に地球温暖化について考えていることを角度を変えてそういう考えもと思わされたところもありいろいろ考えさせられます。人間は人間を自然の一部とはとらえない。人間が自然を論じるとき、自然を描くとき、そこに人間はいない。人間が自然の上にたって、それをこわしたり再生したりすること、しようとすることこそエゴじゃないのかという佐々木内蔵助の主張に共感してしまいます。

家族それぞれの悲喜劇が笑えて辛いですが、紆余曲折を経て家族再生に向かう展開は気持ちが温かくなります。そしてそこからのあのラスト。なんだこりゃ?な感じですが、自分の中でいろんな解釈がつけられ「あの言葉」「あの映像」がいつまでも脳裏に残りました。嗚呼、こうして思い出しながら書いていると実にいい映画じゃないか。

50年以上も前に書かれた三島由紀夫さんの原作ではどういう風にこの世界観が描かれていたのか知りたくなるし、50年以上も前に書かれた作品をまんまコピーではなく、おもしろおかしく、そしておそろしくこういう映画に落とし込んだ吉田大八監督のセンスにあらためて脱帽な一作でした。