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2017年5月19日 朝日新聞 首相メッセージ、読み解くと

「首相メッセージ、読み解くと 憲法9条自衛隊を明記し、2020年施行をめざす」記事の石川氏の短い解説をスクラップ。

人と人が分断される社会、これは確かに困ります。そのための「無色透明」「理想がないのが理想」というのには共鳴します。

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■「理想なき憲法が理想」 石川健治・東大教授(憲法

 立憲主義的な憲法の定義のなかに、理想はない。特定の理想を書き込まないのが、理想の憲法だ。

 「憲法は国の未来、理想の姿を語るものです」という安倍首相は、そこを履き違えている。理想はひとつではない以上、異なる理想をもつ人々が共存するためには、無色透明の国家をつくって、国民に特定の理想を押しつけないのが最上の方法である。

 もちろん、理想をもたない国家では、元気が出ない。だから、ひとは憲法に理想を書き込もうとするのであり、それ自体は避けられない。多くの犠牲を払ったあげくの敗戦で、惨めに武装を解除された日本も、だからこそ平和国家という高い理想を憲法に書き込んだ。この気分に「押しつけ」はなかったはずである。

 しかし、仮に憲法が理想を掲げるとしても、多極共存の枠組み(権力分立と権利保障)としての立憲主義を支え得る、普遍的に通用する理想でなくてはならない。それはグローバル化した時代の要請でもある。時代錯誤な「美しい国」の理想が憲法に書き込まれることで、それを「美しい」とは考えない日本人が、非国民として排除されるようなことになっては困る。憲法改正手続きを通じて、国民は分断され、少数派が抑圧される。それは最悪のシナリオである。