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愛のない見方4

ひっさびさに

ほんとうに久々に映画を愛なく見たので、その短評を書くという日記

前回の開催から約四年、独りオリンピックでもやっているのかという期間が過ぎているという事実にもはや茫然自失

時の流れは百代の過客にして行き交う年もまた旅人なり、ゆく川の流れは絶えずして諸行無常の響きありってやつですね

いやていうかこれだけ間隔が開いたのは、四年前の前回を書き上げた時にまったく知らない人、しかも怪しさ満点の者がいきなりコメント付けてきたので、映画短評するのを控えているうちにいつの間にやら4年も経っていたというわけですよ

それでは今回いちどきに視聴した映画のラインナップがこちら

・コップカー

パンズ・ラビリンス

善き人のためのソナタ

・わたしに会うまでの1600キロ

ブルーベルベット

マルホランド・ドライブ

そして今回から、いやまあ前回までの方式なんてわたくし自身も忘れていたのですが、まあ今回から星5つ満点で個人的評価を出していきたいと思います

星5=神作、全地球人一日一回は視聴すべき

星4=傑作、全地球人一年に一度は視聴してほしい

星3=名作、全地球人一生に一度は視聴できればいいね

星2=凡作、全地球人一人一人の感性次第

星1=駄作、全地球人そびえ立つクソ

ぐらいのニュアンスで個人的評価を格付けしていく所存

というわけで、早速ひとつめの評価にいきましょう

・コップカー 星1.5

かろうじてね!

かろうじてそびえ立つクソではないけども、でもどんなに香水を振りかけてもクソはクソという映画

10歳ほどの家出少年2人組、母が再婚したばかりのガキ大将のトラヴィスと事情は不明瞭ながら両親が不在で祖母の家に預けられている小心者のハリソンが、荒野で無人のパトカーを発見するのですが、いたずら盛りのお年頃

自分たちの車だと見做し自由気ままに荒野で乗り回し、ついには公道でまで蛇行、逆走と暴走を初めてしまいます

一方、そのパトカーの持ち主である保安官は実は麻薬取引に殺人にと手を染める、法の番人らしから悪徳警官

彼は自分が手を下した遺体を捨てに荒野へとパトカーで乗り付けたのですが、遺体を運んでいる間に悪ガキ2人に自分のパトカーを盗まれてしまったのです

そうとは知らずに停車したあたりまで戻ってきたものの、自分の車が見当たらなくなっており、自らの悪事が露見してしまうかもしれないとう焦りに狼狽する警官

あの手この手で自分のパトカーを捜索するうちに、子供が自分の車を盗んでいたことを知り取り戻すために彼らを追跡し始めるのでした

というあらすじ

なんだかコメディーみたいな筋書きなのですが、それをどうにかスリラーにしようとしているのが不自然極まりないわけですよ

スリラー映画ではないですけど、例えばターミネーター2でT1000がどこまでも追跡してくる際の緊張感や不安感というものに比べたら学芸会のお遊戯をみているような気の抜けたシーンが続くんです

それはやっぱり少年2人が無邪気にイタズラを満喫しているという設定や、悪徳警官というキャラのくせに焦燥感に塗れて冷血漢という雰囲気が剥げてしまっている多くの描写が、映画から一定の緊張感を脱色してしまっているのだと考えるわけです

なので、追い追われという緊張関係のストーリーのはずがまったくハラハラせず、漫然とシーンが連なっており退屈な映画なのです

ただ見るべき点としては、悪徳警官がパトカーを盗まれ焦って荒野を全力疾走する姿が前述のターミネーター2のT1000をオマージュしているような、背筋ぴーんとした不自然な走り方で笑えるという点と、クライマックスで内気で臆病だったハリソンがトラヴィスを救うために勇気を出すという少年の成長を見て取れるという点だけですかね

まあ得るものはそれぐらいで、間違っても見ないほうが時間の節約にはなるはずです

パンズ・ラビリンス 星1.6

スペイン映画っていうのに初めて触れたけど、この映画の評価のままじゃあスペインはサッカーだけやってろよハゲと罵ってしまいかねないほどのギリギリクソな映画

スペイン内戦も収まらぬ時期、反政府軍独裁政権軍が争う森の前線基地に向かう悪路を複数台の車が進んでいる

そのなかの一台の車中には2人の母娘が

娘の名はオフェリア

彼女は、母親が基地の司令官である独裁政権軍のビダル大尉と再婚し臨月を迎えたとき義父の希望で出産を基地内で行うために、母と連れ添ってその地を訪れたのだった

内気で空想や本が好きな彼女は、道中にナナフシのような姿の妖精を見る

義父の自分に対する無関心さや身重の母、そしてそのお腹のなかにいる新しい家族への不安感を抱えながら過ごす基地の生活

ある夜のこと、オフェリアのもとへそのナナフシのような妖精が表れ、森の奥へと彼女を誘う

その先に広がるのはパンズ・ラビリンスという迷宮への入り口

そこには異形の姿をした古の山の神パンがおり彼女にむかって囁くのだった

「あなたこそ地下の王国の姫君の生まれ変わりだ」、と

というファンタジーものでして主人公の少女オフェリアたんは地下の王国に行くために、パンから課された3つの試練をこなさなければならなくなり幻想の世界へと足を踏み込むわけなんですが

まあ〜〜しょっぱい!!

新しい世界を造ることのできるファンタジーというジャンルなのに、その雄大さがまったく感じられない

例えばアリスやリリスナルニア、またはネバーエンディングストーリーのように、そのファンタジー世界へと没入していき広大な世界観で魅了しようとするわけではなく、現実世界の隙間に存在するような空想世界をちょっと垣間見せるだけ

あとは内戦中という暗い設定を抱えているせいもあって、反政府軍独裁政権軍の血で血を洗う争いを描いたりしており、間違っても子供心を想起させるような作品ではありません

言ってみれば子供心を失った大人が頑張って作ったファンタジーという、どうにもならない駄作

とはいえ、少女が足を踏み入れた世界にいる異形の怪物の造形や、銃弾で頭を撃ち抜かれ脳みそ飛び散らせる老人とかその他の死体のリアル感を出すための美術力は驚嘆できる

でもストーリーがクソなんだから、いくら小手先の技術があろうとも映画としては面白くもなんともないですわな

いったいどこに向けて作ったのかさっぱりわからん

ただまあ、美術力だけはすごい

あ、あと主人公の少女オフェリアが、まだたぶん初潮もきていないような年頃なんですけども、時折ハッとさせるような色気を出すことがママ有るので、少女美が好きなら見てみる価値はあるかも

だったらエコール観とけって?

はい、その通りでごぜえますだあ

ごめん、ひとつだけいいセリフがあった

冷酷で逆らう者は容赦なく殺害するビルダ大尉が、反政府軍の内通者だと判明した信頼していたかかりつけの医者に、自分に服従しろ自分の命令に従えと銃を突きつけて恫喝したシーンで、医者がいったセリフ

「お断りします。なぜなら何の疑問も抱かずにひたすら従うなんて心のない人間にしかできないからです」

善き人のためのソナタ 星2

まあ、国や時に関わらず人間性を抑圧しようとする体制に抗おうとする題材は否が応でもドラマ性ありますわな、日本のテレビ業界が医療モノを鉄板としているように、という映画

まだベルリンの壁が崩れる前、1984年の東ドイツ

この国ではソ連の支配下にあった結果、秘密警察が至る所で監視の目を光らせており、言論の自由もなく、住民同士がお互いを監視しあう閉塞した空気に閉ざされた国だった

秘密警察の局員ヴィースラー大尉は尋問の専門家であり、その冷血さと国家への忠誠の高さは群を抜いており上司の覚えもめでたかった

ある日、彼は反体制運動を行っているとの疑いを当局に持たれた劇作家ドライマンの監視をすることになる

ドライマンの部屋があるアパートの屋根裏部屋を拠点に、日夜を問わず一挙手一投足を監視するヴィースラー大尉

そうするうちにヴィースラー大尉はドライマンの奏でる音楽や詩に影響され、徐々に人間としての精神を取り戻し始める

というストーリーなんですが、なぜ感動を呼びそうな――実際、感動したというレビューも多い作品なのにわたくしの評価が星2なのかと申しますと、主人公のヴィースラー大尉の感情が揺れ動いているという、そしてそれによって映画の中の人物たちの息遣いを感じさせるための描写が少ない

彼は芸術もなにも知らなかった、まるでロボットのような人間だったのに、劇作家ドライマンの音楽を聴く内に段々と人間らしい心を取り戻していったわけでしょ?

その描写が本当に乏しくて、え、おまえいつからそんな人間らしい人物になったのって思ってしまうほど

これは語弊があるな

つまり感情が生まれているというシーンの濃密さが足りない

彼が感動を覚えたキッカケとなる映画のタイトルでもある作中に出てくる曲『善き人のためのソナタ』が、特別良い曲と思えないからこれが原因で、どうも人間性の回帰という感動を覚えるのが乏しかったんだよなあ

題材としてもストーリー運びも素晴らしいのに、ワンシーンにかける濃さが感じられないせいでなんとなく薄味に感じてしまう映画でした

まあでも捻くれてねじ曲がった精神でなければ、感動はできんじゃない?

ブルーベルベット 星2.5

端的に言えば、ラーの鏡を企図したんでしょうね、っていうだけの映画

平和で安穏としたどこにでもある田舎町ランバート

その街の出身で大学生のジェフリーは父親が急病に倒れたことで、生まれ故郷であるランバートンに帰省することになった

入院している父を見舞った帰り、彼は野原で切り取られた人の片耳を見つける

好奇心旺盛な彼はその耳を警察に届け出たあとも、事件の全容を掴むため個人的に調査を行うのだった

が、調査を進めるうちにジェフリーは徐々にどす黒い事件に巻き込まれていく

なんですけど、なんというか確かに描写のひとつひとつは一定の層にとってはある意味ショッキングかもしれません

例えば、事件の中心人物である女性が殴られながらじゃないと満足できないドMだったり、今まで見てきた映画の登場人物のなかでもぶっちぎりでイカれた男、気持ち悪いオカマが気持ち悪い声で歌って、全裸女性がで路上に飛び出てきたり、無数のアリが這いずる切り落とされた耳

主人公のジェフリーにしてもミステリーの主役ではよくある『完璧聖人君子』とはほど遠い、若者特有の身勝手さを持ち合わせた露悪的人物だったりします

世界の素晴らしさとその世界の抱える異常性を対比させて描写しているという点では、自分たちが光の側だと盲信しているポルナレフ君なんかがこの映画を見たら嫌悪感を催すかもしれません

わたくしも小学校2年生までにこの映画を見ていたら重大なトラウマを抱えていた可能性は大いにあります

言ってみれば、花よ蝶よと育てられた深窓の令嬢にXVIDEO見せつけるような映画だってことですね

そしてXVIDEOを見慣れた我々現代ニッポンジンにとってはこの程度の暗部なぞ、背中を軽く撫でられた程度の衝撃でしかない、というわけです

ただ映画としての奥行きは感じさせます

こういう解釈ができるんじゃないか、ああいう解釈もできるんじゃないかと多元的な考察ができるという点に関して、善き人のためのソナタの平坦さとは一線を画する風があるとは感じられました

ただおもしろくはない

後述するマルホランド・ドライブという映画の監督デヴィット・リンチがこの映画も監督したのですが、まあまだまだおもしろくはない

天才と称するにはほど遠いわけです

あと映画内容とは関係ないですが、借りたDVDを全部返却したと思っていたらこのブルーベルベットだけ返却するのを忘れていて延滞料金600円取られたという個人的な私怨もあって、評価が凡作止まりとなりました

・私に会うまでの1600キロ 星3

期待半分、不安半分だったけど良い方に転がったアメリカ版お遍路さん

実際のアメリカ女流作家シェリル・ストレイド

彼女は最愛の母を亡くした悲しみから誰とでもセックスし、薬に染まるという自暴自棄な自分と決別するために、アメリカとメキシコの国境からカナダに至る太平洋沿いの自然歩道を縦走するパシフィック・クレスト・トレイルを一人で歩き切ることを決意したという内容の自伝的小説を映像化した映画

最初に言っておきます

この映画とイントゥ・ザ・ワイルドを同一視して、女版イントゥ・ザ・ワイルドじゃんとかレビューに書いている阿呆がいるけども、じゃあそいつらに聞きたい

お前らは大脱走とパピヨンと同一視するのか?

ショーシャンクをもってして、スティーブン・キングパピヨンじゃんとか宣うのか?

恥を知れ、しかるのち死ね!!

と、思わずこの映画の肩を持ちたくなるほどのいい映画

絶望のなかで留まることは実はとても平穏な心境をもたらすけども、そこから一歩を踏み出すためにただ無心で歩くということはなぜか自分を見つめるということに繋がり、ほんと日本のお遍路と同様な気がします

もちろん人は人の中でしか生きられないというイントゥ・ザ・ワイルドとの共通点もあるけども、それは普遍的な相対性真理なわけだから両作品を同一視する要素になりえないだろう阿呆が

と、思わずこの映画の肩を持ちたくなるほどのいい映画

言うても人の価値観は十人十色なわけですから、そんなそれぞれの価値観や感じ方、考え方の相違に対して阿呆がとか死ねだなんて本気で思っていませんよ死ね

主人公の女性が道中で出会い、夕食をご馳走になったオッサンと会話するシーン

「メキシコからカナダまで歩くなんてやめたくならないか?」

「二分ごとに思ってる。やめるべきだと思う?」

「そう思うね。まあ気にするな、俺は挫折の連続だ、仕事も結婚も。俺だったら初日でやめてるさ」

「後悔してる?」

「続けられないんだから仕方ない、他に選択肢がなかった」

「そうね、人生そんなものよ」

スヌーピーの名言といわれる「配られたトランプで勝負するっきゃないのさ」と同様な気がする

とまあ、人生についてのあれやこれやを考えさせられるシーンに満ちているというわけで、わたくしにとっての心に残ったセリフを挙げてみました

わたくしも負け犬の人生だからこそ共感してしまう映画だったのかもしれません、まあなんだかんだいっても遠吠えなんでしょうがねwワンワンワン

マルホランド・ドライブ 星3.5

思わずデヴィット・リンチ監督は天才でおまと叫んでしまいまして

カルトの帝王と称されイレイザーヘッドやTVドラマだとツイン・ピークスの制作に携わった監督の作品なんですが、前述のブルーベルベットなんかよりも遥かに度肝を抜かれた作品

むしろこの作品に比べたら、同じ監督が制作した映画でもブルーベルベットの方はサンダルのゴム底ですね

夢の街ハリウッド

女優を志しているベティは女優の伯母がカナダに映画撮影に赴く間、彼女のアパートに滞在して映画のオーディションを受けるつもりだった

ところが、伯母の部屋には黒髪の若い女性が

たまたま彼女は目に留めたポスターの女優リタ・ヘイワースの名前を借用してリタと名乗る

しかしそれ以外のことは、自分の本名もどこから来たのかも思い出せずにいた

リタが持っていたのは大量の分厚い紙幣と青い鍵のみ

リタにいささかの興味と魅力を感じたベティは、記憶喪失の彼女の身元を探ることになったのだった

この映画はミステリーにカテゴリーしても良いかと思うのですが、まず初見では絶対に全容を把握することはできないでしょう

断言できます!!

なので万が一わたくしのこのレビューで興味を持たれて見てみようかなと思った方に、公式が出していた10個のヒントを掲載しておきたいと思います

・映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている

・赤いランプに注目せよ。

・アダム・ケシャーがオーディションを行っている映画のタイトルは? そのタイトルは再度誰かが言及するか?

・事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。

・誰が鍵をくれたのか? なぜ?

・バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目せよ。

・クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?

・カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?

・ウィンキーズ(という名のダイナー)の裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。

・ベティの叔母さんはどこにいる?

ただこのヒントを全部を網羅したとしても全容を掴むにはさらに一歩深く踏み込んだ想像力が必要になることでしょう

ですがもしこの映画の全容を把握したとき、間違いなくアナタはこう叫ぶでしょう

「デヴィット・リンチ監督は天才でおま!!」、と

カルトの帝王と称されるわけですよ

すごい

本当に天才

よくこんな話を思いつくもんですよ

わたくしはマルホランド・ドライブは今まで見た映画のなかでも、ベストテンに入る衝撃を味わいました

あと、ベティ役のナオミ・ワッツさんの腰のラインがエロい

注意していただきたいのは、もし女性とこの映画を一緒に見ていたとしてそのエロいシーンで彼女の方をちらっとでも見たとしたら、女性は勘の鋭い生き物です

あ、いまこいつ私と比較したな、と感づかれてしまうでしょう

また家族といっしょに視聴することもオススメいたしません、茶の間が凍りつくシーンがあります

ただそういうシーンもこの映画が孕んでいる謎を解明するための手がかりでもあるので、スキップするわけにもいかないのがツライところ

あと難点といえば、特に派手さがある映画ではないので、前半がやや退屈に感じる可能性はあります

それを差し引いても、このマルホランド・ドライブ

なぜ世間からまったく注目されていないのか、非常に訝しくなってしまいます

このマルホランド・ドライブは超絶難解ではありますが、是非時間があるときにでも見ていただきたい映画です

以上、アカデミー賞発表と被った第4回愛のない見方でした